製作所日誌

自転車の悲劇。

20年近く前に買った自転車「Gary Fisher」をメンテナンスに出した。
このところ全く乗っていなかったのだけれど、367が完成したら、そこに置きたいし、きちんと使えるようにしておこうと。
近所に、そんなにマニアックではないけれど若い人がきちんと対応してくれそうな自転車屋さんが出来たので初めてそこに持って行った。
なんだか、楽しくなって、ペダルを取り替えようかとか、いろいろ考えたけれど、やり出すとかなり大変そうなので「デザイン的なことにはこだわりがあるので、とにかく今回は安全に関わることだけ」とお願いした。コレが大好きで乗っていただけで、自転車については詳しくないので、修理や交換するのにデザインが変わってしまう個所については、勉強してからにします、とにかく今回は機能面だけ、と念を押して。

そうすると、少しして電話がかかってきて「ブレーキも取り替えていいですか」とのこと。「取り替えないと、危ないんですよね」と聞くと「取り替えないと乗れません」と言われ「では、お願いします」と答える。

で、修理完了の連絡をもらい、取りに行くと「えっ?!」
自転車の顔がかわっているではありませんか。
尋ねると、私の自転車は古いスタイルのブレーキなので、そっくり別の物に取り替えるしかないとのこと。ブレーキを取り替えて「デザインが変わった」と言われるとは、夢にも思っておられなかったらしく、私のがっくりした様子に、店員さんはきょとんとした様子。
ブレーキを全然違う意匠のものにすると、デザインが変わるんですよー!
少なくとも、オリジナルのブレーキを返却してもらえればよく似たものやデッドストックを探せるかと思って「壊れていてもいいので元のものを返却してください。」と言うと「捨ててしまった」とのことなのです。え〜っ。
元のものさえ返してもらえれば黙って帰ろうかと思ったのですが、捨てられたと聞き、思考が停止してしまい「自転車に詳しい友達に尋ねてからもう一度来ます。」と自転車を引き取らずに帰ってきました。

この正面のシルバーの部分、いかつくないですか?
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以前は、細いワイヤーが走っていたのに、このシステムでは、輪っかで吊るしかないって。黒いのいやなら、シルバーもありますって。
ヤダ。
g_f_.jpg
そんなに手入れして使っていたわけでもないけれど、少なくともオリジナルの状態を気に入っていたので、好きじゃない方向に、思いがけず変わってしまうのは、かなしいばっかりです。

ブレーキを取り替えるとはどういうことか、きちんと説明してくれれば、確認しに行ったのに... まぁ、今考えれば、ワイヤーを代えたりするだけにしては見積もりが高かった。こちらの無知も大きな原因ですが、専門店と素人なのですから、もう少し気遣いがあってもよいのでは。あれだけ「デザイン」と叫んでいたんだから。
とにかく、壊れていたとはいえ、オリジナルの部品を捨ててしまう、というのは何よりひどい、と思います。

自転車屋のお兄さんは、誠実な態度でしたが、私が何を言っているのか根本的には全く理解していない様子でした。
今時、小さな自転車屋さんで働くなんて、自転車が大好きな人に違いない、と思い込み、信用した私も悪いのですが、どうすればいいんでしょうね...
これは、自転車を愛しているとは言えない修理だと思うのです。
もうほんとに、がっくりです。




2012年8月

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筆記者

通崎睦美
製作所スタッフ
谷本天志(tanimoto)
戸矢崎満雄(toyazaki)
山崎暢子(yamazaki)
近藤あかね(kondo)

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