2009年2月アーカイブ
2007年夏、マリンバ奏者の佐藤梨栄さんから日本木琴協会阪神支部創立50周年記念コンサートのご案内が届きました。ゲストは、ネイ・ロサウロと佐々木達夫。
佐々木達夫さんは主に海外で活動されているので、国内では知る人ぞ知る、という存在。でも、私にとっては「特別なプレーヤー」でした。実は、中学生の時、マリンバのレッスンで先生から佐々木達夫さん演奏のテープを聴かせていただいたことがあり、その音色にいたく感激、カセットテープをダビングしてもらい、長く大切に聴いていたのでした。その時は、よくわからなかったのですが、その音色こそが、マリンバではなく、ヴィンテージ・シロフォンだったというわけです。
コンサートでは、初めての佐々木さんの生演奏を感慨深く聴き、終演後には少しお話しすることができました。
演奏会の後しばらく佐々木さんのシロフォンは、神戸の佐藤さんのお宅に保管されているとのこと。佐藤さんから「佐々木さんの了解も得ているので、是非」とお誘いいただき、お邪魔することに。
その楽器は、平岡モデルと同じ機種「DEAGAN ARTISTS SPECIAL XYLOPHONE No.264」 。フレームは違うものの、鍵盤の「顔」は同じ。まるで「兄弟」を見るようでした。
その後、佐々木さんとも直接メールでのやりとりをするようになりました。佐々木さん曰く、これまで、シロフォンを弾く人に出会えず、ご自身が弾かれなくなったらシロフォンの時代も終わるのかなと、寂しい思いをしていたとのこと。実際シロフォンに興味を持たれた方がおられたものの、マリンバとは演奏法が異なるため相当弾きこまないと音楽作りが難しい等の理由で諦められてしまったそうです。
なので、私がシロフォンの音に魅力を感じて弾いていることを喜んでくださいました。
実は、私は弾き込むも何も、マリンバよりシロフォンの方が身体にしっくりくる、と思ったくらいで...
そんなやりとりの中で、「オーケストラをリタイアし演奏活動も少しずつ減らしていっているので...」という話しがあり、そして昨年暮「シロフォンを手放そうと思っている。あなたに弾いてもらえるなら...」とのご連絡をいただいたのです。
平岡シロフォンの鍵盤は、音色は申し分ないものの、コンサート活動で酷使した上、調律(鍵盤を削る)が繰り返されていたため、寿命を考えると不安もありました。自分がシロフォニストとしても活動していく上で、もう一台同種の楽器があればと思いながらも、「60年代頃改良の1930年代製」との条件をクリアする楽器が手に入るはずなどない、と決めてかかっていました。あきらめて新型のシロフォンを購入しようか、鍵盤を誂えようか、と検討していたタイミングだったので、こんなにうれしい話しはありません。
一度佐藤さんのお宅で見ている楽器なので、改めて試奏するまでもなく、ゆずっていただくことに決めました。
長い説明になりましたが、そんな楽器が、ようやくうちに届いたというわけです。
佐々木さんのシロフォンは調律されていない分、若干音程の狂いはあるものの、ニスもはがれず鍵盤の状態がよい。
なので、手入れのしようによっては、これからまだまだ楽器として進化を遂げる可能性を秘めているように思います。
佐々木さんは、楽器を調律することは、自身の身を削られるようでできなかったとおっしゃっています。私も一台目である平岡さんの楽器に対しては同様の思いです。でも、この2台目については、良い意味での距離があるので、それがかえってよい方向に向けられるような予感がしています。長男と二男で子育てが違う、という感じかな。それぞれの楽器にそれぞれへの愛情を注ぎ、つきあっていきたいと思っています。
みなさんにこの楽器の音色を聴いていただくのは少し先になると思いますが、楽しみに待っていてください。
佐々木さんについては、こちらで紹介記事を読むことができます。
- 出演情報
2月19日(木)18時15分収録開始
NHK-FM「名曲リサイタル」公開収録NHK (東京・渋谷)509スタジオ
実は、箱に紙を貼る際、ズレが生じるかもという話しを聞いたとき、谷本さんは2ミリくらいずれてしまっても支障のないコレを箱のデザインにしようと思っておられたのでした。でも、やっぱり「本の表紙がそのまま箱のふた」という案は捨てがたく、調整してアレが完成したのでした。でも、この「通崎好みマーク」は、ここに生きていました。中面は、ソデカガミの78.79ページ「あられと豆菓子」と題した文章を入れ込もうかということだったのですが、あまりにも小さく見づらいので、適切なところを抜粋してくださいました。
裏面には、品質表示にあたるような事項が記載されています。
当初、私から送った原稿は「コンセプト/デザイン 谷本天志」と仮に記載していました。でも、そう書くと、私の名前のいれようがなく、プロデュースはおおげさだし、実際やった仕事といえば「おつかい」程度。「どうしましょう」と書き添えておくと「製作 通崎睦美 谷本天志」と、うまく書いてプリントしておいてくださいました。
「製作」と言ってしまえば、なんでもない言葉ですが「谷本さん=デザイン」と考えてしまうと、次につながらなかったのでした。こういうところで、アタマの差がでます。あらためて、「世の中、デザインやおつかいを含めて「製作」というんだな」なんて思いました。(笑)
ちなみに、ここに書けばよかったのですが、後から確認したところ、五色豆の賞味期限は約一ヶ月だそうです。
谷本さんが、全てセットして届けてくださったのが、これ。
ここから「おまけ3」で紹介した作業がはじまったのでした。
「おまけのできるまで」はこれで終わりです。
ところで、『ソデカガミ』をご存じない方には「どうして五色豆?」という疑問が残ることでしょう。
ソデカガミには、こんなページがあるのです。
そして、このページの撮影場所は「本家船はしや」さんのお店先をお借りして撮影したもの、でした!
次は、箱につめるための小袋を調達。これは、すんなり、ちょうどいいサイズが見つかりました。
お店に袋を渡して詰めていただければ、それが一番有り難いのですが、20粒ずつ、それも各色、数の決まりがあるとなれば、お店の方も、通常とは違いすぎるので、むずかしいでしょう。
しかし、どちらにしても購入せねばならないので、とりあえずは買ったばかりの袋を持って「本家船はしや」さんに行ってみました。
「先日、ちらっとお尋ねした五色豆の件なんですけれど、この袋に詰めることが決まりました」と切り出してみたら、やはりお店のお兄さん「えっ....ウチで....詰める..ん.ですか....」と凍り付いてしまいました。で、私は「いいえ。私が詰めます! とにかく五色豆をわけていただけますか」と笑顔で答えてしまいました...
お兄さんはほっとした様子で「何グラム、しましょう?」とおっしゃったのですが、今度は私が凍り付きました。
「うっ、何グラム?!」ここで、また苦手なかけ算です。「つぶ単位でもいいですか」と言うとまたお兄さんが凍り付く。(笑)でも、メモ帳を出す私を見て、親切に計算用のボールペンを差し出してくださいました。小学生レヴェルのかけ算ですが、間違わぬよう何度か検算して、粒の数を伝え、翌日引き取りに来る約束をしました。家にもどって、泣き言をメールすると、谷本さんが「人手がいるなら大学で作業します」と連絡をくださいました。いやぁ、ほんとに神様に思えました。でも、正確に言うと、神様に思えたのは、もう少し後です。この時は、ほんとにがんばればなんとなかなると考えていて、この作業の大変さに気づいていなかったのです。谷本さんに「車で五色豆を引き取りにいきます」と言われてもまだ気づいていなかったです。
どこで気づいたかというと、先に支払いをすませようと船はしやさんに行って「五色豆、全部で10キロになりました」と言われた時でした。これを、自転車で持って帰るのは無理でした。袋詰めも人海戦術が必要でした。
船はし屋さんも、一気に大量購入はそんなにないらしく、「白」についてはできたてほやほやのものをまわしてくださったようです。なので、「白」の砂糖は少しやわらかかったと思います。
そんなわけで、五色豆の引き取りから袋詰めは谷本さんにお世話になりました。衛生に気をつけ手袋着用。大阪成蹊大学芸術学部の左から、マルコ、ヒメイ、ボブのお三方。本当にご苦労様、ありがとうございました。
今度は、谷本さんが引き取りにいってくださる前に箱屋さんに走って、仕上がりを確認してお支払いしなければなりません。
箱も、もちろんばっちり仕上がっていました。
いろいろ他にも出来上がった箱が積み上げられていたのですが、この箱の包みには、見えるかな?「ソデカガミ」と書かれていて、なんだかうれしくなりました。
神谷さん、紙もこちらで支給したということで、予定よりも1つにつき、なんと10円、おまけしてくださいました。
ここの10円は大きいです!ありがとうございました。
いよいよ最終章。(つづく)
この帯にどんな由来があるかは『天使突抜一丁目』に書いています。古い着物や帯でおもしろいデザインは山ほどあるのですが、デザインした人の名前がわかっているのは、実はほとんどないのです。
そんなわけで、貴重な資料なのだそうです。
今日、美術博物館の学芸員の方が帯を借りに来られることになっていました。私はなんとなく一人でこられるイメージだったのですが、よく考えればそりゃそうですよね。大きなトラックで、ヤマトの美術運送専門の方が2名一緒に来られました。
学芸員の浦野さん。
まずは、帯の状態を細かくチェック。
目に付いたところを、書き込んでいかれます。
梱包完了です。
そして、預証書をいただき終了。
学芸員の方が来られるということで、この時代にまつわる着物をお見せしたり、盛り上がれるかな〜と思っていたのですが、そりゃそうですよね...展示物を順番に借りて回られるのだからのんびり遊んでいる時間はありません。
今日は、その時になって「そりゃそうだわ」と思うことの連続、でした。
まぁ、私の場合、よくあることなのですが...
「確かにお預かりします」の図。
「いってらっしゃい!」の図。
それにしても、この帯、うちで、こんな大切に扱ってもらったことはないので、さぞかし緊張していることと思います。お近くの方、またお近くに行かれた方は、是非どうしているか、会いに行ってやってください。
おっと、うっかり、ご案内しそびれるところでした。
岐阜県現代陶芸美術館では、山崎暢子さんの作品も展示されている「タイル きのう・きょう・あした」展が開催中です!
早速、五色豆の「本家船はしや」さんへ行きました。
豆はグラムでも買うことができます。
家に帰って、ちょうどあった干菓子の箱に入れてみて、谷本さんにメールで送ると、「本のカタチがいいかなと思って何か探しているんですけど、なかなかよさそうなのがないですね」と。
そうなると次は箱。
箱を誂えるため、箱屋さん探しからスタート。
京都には、これだけお菓子やさんがあるのだから、小回りがきいて、きれいな仕事をされる箱屋さんがあるはず。と、知り合いをたどって「神谷紙器工業所」へ。偶然自転車で5分ほどのところだったので、電話をしてすぐにお邪魔しました。大通りにさりげなくあるので、一度通り越してしまいました。
気のよさそうな奥さまとご主人が話しをきいてくださり「あと一週間早かったら断っていました。バレンタイン用商品の納品で忙しかったので...」といいながら快くお引き受けくださいました。図らずも絶妙のタイミングだったようです。「おまけ2」に出てくる写真が神谷さんのご主人です!
箱のサイズは、本とほぼ同比率の縦9、横6.5センチ。高さは、豆の「身長」を測り、メール便の制限内でおさまる内寸1.7センチ。
カタチは、身とフタが分かれているのではなく、ページをめくるようにふたが開くカタチにしたかったのですが、ご主人から1.7センチだと紐でとめる仕様にしないとすぐにフタが開く、また意外につぶれやすい、とのご指摘をいただき、身とフタ別々になる今のカタチに決定。
詳細を打ち合わせ、箱の土台作りをスタートしてもらうと同時に、谷本さんはデザイン→印刷手配。
実は、谷本さんが直接箱屋さんと打ち合わせてくださる中で、出来上がった印刷物を箱に貼る段階で2ミリずれる可能性のあることが判明。そんなこともあり、デザインを迷われたようですが、ずれてもよいようなデザイン上の工夫と、余分に発注して検品することにして、ほんとに「本みたいな箱」実現に向けて動き出しました。
箱のサイズが決まれば、豆を入れる数と色の配分。
白を10、他の色を2ずつ。
あるいは白を6,他の色を3ずつ。
どちらがいいですか、と谷本さんにお尋ね。
「ちょっとさみしいですね。あと2つぶ増やせませんか」ということで、白8,他の色3つずつに決定しました。
ワタシは袋に入れたときの余裕を考えていたつもりでしたが、出来上がりをみると、ここで2つぶ増やしたのは大正解でした。
(先日、定期的に通っている針治療の先生が身体を触って「この一週間、砂糖を食べ過ぎていませんか」とおっしゃったのですが、ワタシ、こういう作業をしながら、袋から出した五色豆をぽりぽり食べていたのでした...)
次は、いよいよ五色豆の調達です。(つづく)
谷本さんと一緒に進めた仕事が新しい局面をむかえる時には、まずは谷本さんに連絡して意見をうかがうのですが、今回の救出作戦は、思いついたら、もう進めていました。
実は、おまけも手作りで何とかなるかと考えて。
しかし、日が経つにつれ注文の数が増え、手作りは無理と判断して、谷本さんに「救援」をお願いしました。やっぱり、最後はここにたどり着きます。
そもそも、今回は、いったん私が購入してみなさんに販売するというシステム。出版社から在庫処分に関しての特別割引はないけれど、手数料程度の「著者割引」があります。でも今回の場合、救出ということでご協力いただくのに、私が「手数料」を「儲け」にしたのでは、申し訳ない。ほんの数百円のことですが、これを「おまけ」の製作費にあてようと考えました。
はじめは、ポストカードなんかどうかな、と思っていました。実は、メール便で申し込んでいただいている方も多かったので、厚みが2センチを超えると送れない、という制約があったのです。ソデカガミの中のワンシーンや、ソデカガミに載っていない銘仙の写真をハガキにするのも素敵かな、と。しかし、谷本さんからは「あまり嬉しくないのでは」と。が〜ん。
代替案として谷本さんから出た「リサイタル時のライブ録音一曲だけ、などのCDは?」というアイディアに、わたしは「う〜ん」。「じゃあ、表具屋さんに作ってもらう「しおり」は?」といえば、今度は谷本さんが「う〜ん」。そのまま、日が経ちました。
人の出すアイディアに「ノー」とばかり言う人は山のようにいますが、これまでの経験で、谷本さんは「ノー」と言ったからには、必ずそれよりぐーんといいアイディアを出してくださるのです。
なので、ここはじっと待つ。
そうこうするうち、もう間に合わないというタイミングになり、谷本さんに電話してみると「五色豆」というアイディアが出てきました。
待ってました!です。それも、箱は、本のカタチ。
さぁ、ここからいよいよおまけ製作の本格的スタートです。
期限はあと約1週間。(つづく)