仏教つながり。
以前連載をしていた東本願寺出版部の冊子『同朋』。
通巻700号記念号にお祝いメッセージを寄せたら、掲載誌と一緒に、東本願寺出版部の新刊、田口ランディ『宙返りの練習』が届きました。
左下に出版社の名前「東本願寺」とはいっているのが、なんともいい感じ。
かわいい装幀です。
これは、ランディさん『同朋』での連載がまとめられたもの。
この中に、映画『おくりびと』の原作(と正式にはうたわれていない)『納棺夫日記』について書かれた個所があります。映画の主題からはずされてしまった第3章「ひかりといのち」こそ、作者青木新門さんが最も伝えたかったこと(=浄土真宗に対する思い)ではないかと。私も、そりゃもう、絶対そうだと思います。どちらがどうということではなく、映画を作った人が伝えたいことと、この本の作者が伝えたいこととは、全く異なる、ということです。
なんだか、すっとしました。
本のタイトル『納棺夫日記』は映画の影響で一人歩きしているけれど、宗教に関心のある、また仏教の素養のある人でないと、この本を読みこなすのはむずかしいと思います。『納棺夫日記』増補改訂版(文春文庫)に書かれた、後日談のような「『納棺夫日記』を著して」という章は面白いです。世間一般の評価と作者の考えとのギャップが書かれています。同じ「表現活動」をしている者として、その気持ち、手に取るようにわかります。
作者の青木氏にとっては、「どこに視点を置いて死体と対峙していたか」という点が重要なのであるから、たぶん一番多いと思われる、読者の「死体に接するような仕事をよくぞなさった」という感嘆の声は、一番「どーでもいいこと」なんだと思います。
あっ、なんだか、夏の宿題「読書感想文」みたいになってきました...
仏教つながりで、もうひとつ。
文・西川隆範、その名も『絵本・極楽』(風濤社)。
以前、法然院に勤められていた桝田英伸さんが監修されたということで、送ってくださいました。
「心の中の最秘境への旅!世界遺産を越える極楽へのツアーガイドブックできました」(中沢新一)
絵本といっても、この本のために、書かれた絵ではなく、図版は法然院所蔵の「聖衆来迎図」などからとられているホンモノなので、妙に「そっか、極楽ってこんな感じか...」というキブンになります。
私は、この人達、気に入ってます。(笑)
桝田さんは現在、鎌倉の長谷寺におられるそうです。