2つの木琴協奏曲 / 黛敏郎・林光
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長くやっていると、いろいろとめずらしい演奏依頼があるものです。
明日は、マンドリン・オーケストラと黛敏郎「木琴小協奏曲」を演奏します。
マンドリン・オーケストラから演奏依頼を受けて私がこの曲を提案したのではなく、先方からこの曲の演奏を依頼された、というのが、面白いところです。オーケストラのパートがマンドリン・オーケストラに編曲して演奏されます。
この作品は、60年代、平岡養一が黛敏郎に委嘱したにもかかわらず平岡自身「気に入らなかったから演奏しなかった!」という、いわくつきの協奏曲です。その後、ペーター版で楽譜が出版され、多くの奏者が演奏していますが、肝心の平岡さんは演奏していません。※正確に言うと、初演だけしている可能性は否定できませんが、記録が見あたりません。
マリンバで代用したり現代の木琴で演奏される機会も多いこの曲ですが、弾いていると、やはり黛さんは平岡の木琴の音色を念頭において、作曲されたんだろうな、と思います。
依頼を受けたときは「えっ?…」と思ったのですが、マンドリン・オーケストラとのマユズミは、ある意味かなり斬新で面白いです。
「ながおかマンドリーノ」第32回定期演奏会 京都コンサートホール 小ホール 午後2時開演。入場は無料です。
来月は、林光「木琴協奏曲」を演奏します。
黛の作品は「お囃子のリズム」や「馬子唄風の旋律」が題材になっている、と言われています。でも、それがどのお囃子なのか、は特定されていません。
林光の作品の中にもショスタコーヴィチや、林光自身のソング「魚のいない水族館」等のモチーフがちりばめられています。光さん自身に「ここにこれが出てきますね」なんていうのも野暮な気がして、直接そんな話はしなかったけれど、他に何か隠れていないか聞いておけばよかったな(笑)
6月29日、下野竜也指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団での林光「木琴協奏曲〜夏の雲走る」のチケットは、すでに完売です!