氷川丸でのコンサート その2 〜軍艦行進曲
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今回のコンサートのプログラムは、変化球ナシ、全て「平岡養一」にちなんだものです。日米交換船の船内で、平岡のピアノ伴奏をしていた雨宮弘子さんの日記が残っており、それも参考にしながら選曲しました。
やはり「えっ?!」と目をひくのは『軍艦行進曲』でしょうか(笑)
これは、平岡養一さんが実際に使っておられた楽譜。
アメリカで使用した楽譜には、NBCの伴奏者にわかるよう、タイトルに英語の説明が書き込まれています。昭和の初めに購入して、アメリカに持っていき、そしてこの日米交換船で持ち帰ってきたものだと思われます。
かなり使い込まれています!
この曲は、戦前、アメリカに日本の練習艦隊が来た時、歓迎の意を込めてNBCの大編成のオーケストラと共演した、平岡にとって思い出の曲。山田治生さんの『トスカニーニ〜大指揮者の生涯とその時代』(アルファベータ)を読んでみると、NBCのオーケストラができる、まだ前のこと!です。
『軍艦行進曲』と言えば「パチンコ屋さんで鳴っている音楽」としてお馴染みですが、そのメロディーに続いてかなり説明不能なトリオ(中間部)がついていて、これがなんともいえない風情を醸し出します! 名手、千花ちゃんの伴奏にも注目です!
ところで、この『軍艦行進曲』ですが、youtubeで、三島由紀夫指揮/読売日本交響楽団の演奏が見られます。ミシマのイメージがガタガタと音を立ててくずれる映像で、これはひた隠しにしてあげないと、と思っていたのですが、先日小沼純一さんがFBで紹介されていたので、もういいでしょう(笑)ご興味のある方は、どうぞ!
今回は、氷川丸での演奏。戦時中は素晴らしい内装の豪華客船が、軍に徴用され、航空母艦などに改造されました。そして、そのほとんどが撃沈されてしまう。本当に悲しい歴史です。それを自分の言葉でいうなら、一言「もったいない」です。この氷川丸は、沈没を免れた数少ない貨客船。1930年竣工なので、1935年製の木琴と、その風情もぴったりかと思います。
日本郵船歴史博物館での展示資料も大変興味深いものです。是非、展示とコンサート、合わせてご来場いただければと思います。