日記

リンゴの歌

元NHK会長の坂本朝一は、終戦直後にラジオから流れた平岡養一の木琴演奏について「うちひしがれ、虚脱した人々の心に、どれほどの慰めと力を呼び起こしたか、はかり知れません」という言葉を遺しています。

終戦後、ラジオから鳴り響いた曲という流れで、この冬の演奏会では「みかんの花咲く丘」(加藤省吾作詞、海沼實作曲)、「リンゴの歌」(サトウハチロー作詞、海沼實作曲)を取り上げることにしました。それぞれ、作曲家の当摩泰久さん、野田雅巳さんに編曲を依頼しています。

ただいま、それらの曲の背景について勉強中。

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当時『リンゴの歌』をアレンジしたのは、仁木他喜雄(にき・たきお)。彼は、もともと打楽器奏者で戦前、銀座の映画館「金春館」の楽士として木琴も演奏していました。大正時代、その演奏を聴いた中学生の平岡養一が木琴のとりこになったのだから、今回私がまたこの曲を演奏するというのには、不思議なご縁を感じます。

まず最初に演奏するのは、12月4日、群馬県館林市。

チラシは、まだゲラですが。かわいく描いてくださり恐縮しています(笑)

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正田醤油株式会社、重要文化財に登録されている文右衛門ホールです。

ピアノは笹まり恵さん。

13時半開演の昼の部と、17時半開演の夜の部があります。入場料は2500円。お問い合わせは0276-62-5151(松尾さま)まで。

info@tsuuzakimutsumi.comにご連絡いただいてもお取り次ぎできます。

そんなこんなで、戦後について考えていたら、古書店「風船舎」の目録が届きました。

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この中に3種類の「リンゴの歌」の楽譜が掲載されていました。問い合わせたときにはすでに1種類しか残っていませんでしたが、よい感じのものを入手できたと思っています!

当時(昭和21年)の楽譜は、五線譜と数字譜が併記されています。

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簡単な旋律のみの数字譜はよく見かけますが、伴奏まで数字譜で書かれているのはめずらしいかも。多くの人が読みやすいように工夫されたのでしょう。

今楽譜の表紙を見ていて気付いたのですが「りんごの歌」は、松竹映画『そよ風』の主題歌。この楽譜にはそのことが記されていません。すでに売れていた2種には、映画のタイトルがある。ということは、音楽好きの方ではなく、映画ファンの方が購入されたのかもしれません。

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戦争まわりのことを勉強していると、夢で空襲警報が鳴ったり、B29が出てきたりするんですよね。

今日は、穏やかに眠れますように!

 

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