メテユンデ 2012 - 戸矢崎さんのわんぱくワンコ

受注で制作する「メテユンデ」のゆかた。
色や柄など、ご依頼主のお好みをうかがい、あとは出来てからのお楽しみ。
今回は、造型作家岩野勝人さん、香里さんご夫妻からご依頼いただいた、ご子息智一くんのための一枚をご紹介します。

メテユンデとは

メテユンデは、古来、馬手弓手(めてゆんで)と表記され、馬の手綱をとる右手と弓を握る左手をさした。右手・左手のことをいう。両手で形を作り上げるものの象徴としてロゴでは「あやとりの糸」をイメージ。右手と左手を交錯させながら、時には違う人の手を行き来しながら自由に形を変化させ常に新しい形を創り出すあやとり。右手と左手、過去と未来、人と人で織りなす色とカタチを表現している。

わんぱくワンコについて戸矢崎満雄

馬手(メテ)

ロンドンの蚤の市で買った「ホワイトテリア」のアクセサリーをモチーフにと考えました。小さくて古い動物のミニチュアを集めています。いつ、だれがつくったか分からぬものに魅力を感じます。黄色が好きな男の子の特別注文として、数ある小物から選びました。元気よく、わんぱくに育ってほしいと願います。

弓手(ユンデ)

柄と技法とは密接な関係があります。ワンコ柄は大胆な型染めで試みたのです。メテユンデでは初めての方法です。渋紙による型染めは、ゆかたの染め方として古くからありますが、現代ではほとんどつくられません。古さと新しさを結ぶアイデアも、メテユンデが大切にするものです。

製作工程

写真を撮る

モチーフを接写撮影します。
小さいものを拡大すると、とても大胆なかたちが現れます。今回は、型染め用としてシンプルに省略しました。立体を平面にするので、シルエットを意識してかたちを整えます。

型紙を切る

昔は、和紙に柿渋で補強したものを使っていました。
今も専用の型紙があり、それを切り抜きます。複雑な柄であれば、紗を張って補強しますが、柄がシンプルなのでそのまま使います。

餅糊を置く

餅米を使った型染めは日本で発達した技法。
今回使った糊は、新しく開発された特殊なもので、高温のお湯の中で硬化し、水には溶けるという不思議な製品です。それにより、片側の糊置きだけで浸け染めができます。

浸け染める

かつて糊置き浸染できるのは藍だけで、その場合も両面置きが必要でした。
高温で染めるスレン染料は、発色良さと堅牢度が高いのが特徴です。
青みが少し入った黄色ですが、パンチのある色に仕上がりました。

水洗いする

水で洗うと糊が落ち、白いかたちが現れます。
糊が乾燥する時にひび割れが出来て、ろうけつ染めのような模様が出ました。
同じかたちでも、ひび割れが一つずつ違うところが手づくりの魅力です。

仕立てる

仕上がった反物を仕立てます。
子ども用だと、一反のちょうど半分の生地でできるので、余った生地で大人物のアロハシャツでも作れます。
仕立ては阿部環さん。

コーディネート

今回は帯とのコーディネイトもおまかせいただきましたので、通崎が既製品の兵児帯を選ばせていただきました。男の子らしいブルーもいいかなと思ったのですが、こどもらしさにこだわらず、ちょっとかっこよく!茶色を選んでみました。

製作プロフィール

デザイナー:
戸矢崎満雄(公式サイト
モデル:
岩野智一(3歳)、岩野瑞生(5歳)
撮影者:
渡辺宗男
撮影場所:
隠岐郡西ノ島町 旧町立 美田小学校講堂
隠岐しおさい芸術祭2012にて
撮影日:
2012年8月31日
作品名
わんぱくワンコ(メテユンデ 2012)
猫まねき猫(メテユンデ 2008

これまでに作ったもの