昭和館から伊東忠太
03
大手町で時間があったので、以前から探している資料がここにないかと、九段下の「昭和館」に立ち寄ってみました。
昭和館は、昭和10年から30年頃にかけての人々の暮らしを後世に伝えるために開館した、国立の施設です。
戦時中のこともやさしい言葉でわかりやすく説明されており、小学生が社会見学に訪れるようなイメージですが、私が行った時間帯は、戦争を体験されたであろう世代の方の来館が目立ちました。出征時に贈られた千人針など現物の資料から、試着可能な国民服など復元品、またニュース映像や当時のSP盤など、アーカイヴも充実しています。
展示されている実物の手紙でぐっときたのは、出征前の兵士が両親に宛てたもの。留守中、病身にある自分の奥さんを呉々も大切にして欲しいと書かれています。どうやら、その前に壮絶な嫁いびりがあったことがうかがえる文面。これ以上、嫁をいじめると、自分の戦意喪失にもかかわるからどうかやめてほしい、という内容が切実に訴えられていました。奥さん、本当に身体が悪いのに、舅・姑に「気合いが足らん!」とか言われていたんでしょうね。
ちょうど今は「戦後70年 よみがえる日本の姿 オーストラリア戦争記念館所蔵写真展」(入場無料)が開催中。
チラシより「焼け跡で遊ぶ子どもたち・東京」(昭和20年9月頃)
資料という面だけではなく、写真作品としてみても堪能できるものでした。
ここは、好感度の高い施設です。
お向かいでしたので、初・靖国神社。
入り口の大きな石灯籠に引き寄せられ、よく見ると平安神宮や湯島聖堂を設計した建築家・伊藤忠太(1987-1954)の仕事でした。
昭和26年、伊藤忠太の長男・伊東祐基が自作の「シロフォン・クァルテットヘ長調」を平岡養一に贈っているんですよね。いろいろとつながっています。